「良ちゃん、大きな郵便届いたわよ?」
「え?僕に?」
「はい、今日はもう上がっていいからね」
「ありがと、姉さん。」
姉さんから渡された大きな封筒には「野上良太郎 様」とだけ書かれてあった。
切手もなければ差出人の名前もない。
少し胸躍る中、僕は公園でその封筒を開けることにした。
***
良太郎へ。
元気にしていますか?
こちらは相変わらず賑やかすぎて困ります…
モモとリュウタはことあるごとに良太郎に会いたいと騒ぎだすし
モモなんて、良太郎がいなくなってから潮らしくなっちゃったのよ?
ウラは女の子に会いたいと言いながらも「良太郎なら〜」って良太郎の話ばっか。
キンタロスはいつもどおりに寝てるけど、たまに「良太郎!」って叫びながら起きるし
リュウタの御絵描きは良太郎の絵ばっかり・・・。
ジークだってしつこいんだから、本当良太郎にどうにかしてほしいわ!
あっ、そうそう!
今日はみんながどうしても良太郎に渡したいものが完成したって
騒いでるから手紙送らせてもらいました。
急にごめんね。
怪我しないように、身体を大切にね。
それじゃあ、また。
ハナ
***
「ハナさん・・・」
思わず笑みがこぼれてしまう、だって期待通りだったから。
たまに、今まであったことはすべて夢だったんじゃないかな、なんて思ってた。
でもこうしてみんなとの思い出が蘇るたびに、目頭が熱くなる。
「あれ…?」
手紙の後ろから落ちてきた一枚の写真。
「懐かしい・・・。」
みんなとお別れする時の写真だった。
写真の裏を見ると『アルバムをイメージしろ!!』と乱雑に描かれていた。
アルバム?
頭の中に思い浮かべ、目を閉じれば手に重みが加わる。
「あ・・・。」
そこには大きなアルバムがあり
“てんこ盛り!!”
という大きな文字と、リュウタロスが書いたお絵かきがあった。
微笑みながらもそのページを開けてみることにした。
『良太郎!!!!久しぶりだな!
これは俺たちの記憶の媒体を基にして写真にしたやつだぜ!!
時間かかっちまったけど、これでさびしくねーだろ!!』
『まぁ寂しがっていたのは先輩だけどね?
良太郎、これ作るの大変だったんだから大切にしてよ?』
『思い出に浸り過ぎて泣くんやったら、俺の懐紙で涙ふいとき!』
『あのね!!僕もがんばったんだよ!良太郎のために!!だからじっくり見てよね!』
『私はいいって言ったんだけど…。ごめんね。』
『野上!!!侑斗も混ぜたから忘れないでくれ!』
「みんな・・・。もちろん、忘れないよ。デネブも侑斗も…。」